ヤマハが提供するユニークな3輪バイク、トリシティ300。
その個性的なスタイルと安定性に惹かれ、購入を検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、インターネットで検索すると「トリシティ300 後悔」といったキーワードが目に入り、不安を感じることもあるかもしれません。
実際のところ、普通免許で運転できるのか、具体的な欠点やデメリットは何か、気になる維持費や燃費、さらには車検費用はどのくらいかかるのか。
また、中古市場の状況や将来的なモデルチェンジの可能性、オフロードは走れるのかといった疑問もあるでしょう。
特に、より小型なトリシティ155で後悔したという声も聞かれる中で、155と300の比較や、ヤマハのもう一つの3輪モデルであるナイケンとの違いも明確にしておきたいところです。
この記事では、これらの疑問や不安に一つひとつお答えし、あなたがトリシティ300の購入で後悔しないための全ての情報を、専門的な視点から詳しく解説していきます。
この記事を読むことで、以下の点について深く理解できます。
- トリシティ300の具体的な欠点や重さからくるデメリット
- 車検費用や保険料を含めた年間のリアルな維持費
- トリシティ155やナイケンとの明確な違いと最適なモデル選び
- 購入後に「失敗だった」と感じないための総合的な判断基準
トリシティ300で後悔?購入前に知るべき事実

- 普通免許で運転できる?ライセンスの注意点
- トリシティ300の主な欠点とは
- 具体的なデメリットは?重さと取り回し
- 気になる維持費と実際の燃費性能
- 避けて通れない2年に1度の車検費用
- オフロード走行は可能か?その実力
普通免許で運転できる?ライセンスの注意点

トリシティ300の購入を考える際、多くの方が最初に抱く疑問の一つが「普通自動車免許で運転できるのか?」という点です。
結論から申し上げますと、トリシティ300は普通自動車免許では運転できません。
このバイクを運転するためには「普通自動二輪免許(AT限定も可)」以上の二輪免許が必須となります。
なぜなら、日本の法律では、トリシティ300は「特定二輪車」ではなく、一般的な「自動二輪車」に分類されるからです。
排気量が292ccであるため、道路交通法上は400cc以下のバイクと同じ扱いを受けます。
3輪であっても車体を傾けて曲がる構造のバイクは、二輪車としての運転技術が求められるため、二輪免許が必要とされるのです。
したがって、普通自動車免許しかお持ちでない場合は、まず教習所に通って普通自動二輪免許を取得することから始めなければなりません。
購入を具体的に進める前に、ご自身の免許の種類を必ず確認することが大切です。
トリシティ300の主な欠点とは

トリシティ300は多くの魅力を持つ一方で、購入後に「後悔した」と感じる可能性があるいくつかの欠点も存在します。
事前にこれらを把握しておくことは、賢明な判断を下すために不可欠です。
主な欠点として挙げられるのは、「車体の重さ」「エンジンパワー」「限定的な収納スペース」の3つです。
まず、車体の重さは237kgにも及び、同クラスのスクーターと比較してもかなり重い部類に入ります。
この重さが、後述する取り回しの難しさに直結します。
次に、エンジン性能です。
292ccのエンジンは市街地走行では十分な性能を発揮しますが、高速道路での追い越しや急な登坂路では、やや力不足を感じる場面があるかもしれません。
特に、この車重に対してパワーが物足りないという意見は少なくありません。
そして、シート下の収納スペースは45Lと、ビッグスクーターとしては平均的か、やや少なめです。
フルフェイスヘルメットは収納可能ですが、他の荷物もたくさん入れたいと考える方にとっては、少し物足りなさを感じる可能性があります。
これらの欠点を理解した上で、ご自身の使い方に合うかどうかを検討することが鍵となります。
具体的なデメリットは?重さと取り回し

前述の欠点の中でも、特に多くの方がデメリットとして挙げるのが、その「重さ」と、それに伴う「取り回しの難しさ」です。
トリシティ300の車両重量は約237kgです。
参考までに、教習車として一般的なCB400SFは約201kgであり、数字の上でもその重さが分かります。
この重量は、一度走り出してしまえば安定感というメリットに変わりますが、停止時や駐輪場での取り回しでは大きな負担となることがあります。
特に、小柄な方やバイクの扱いに慣れていない方にとっては、傾斜のある場所での方向転換や、狭いスペースでの出し入れに苦労する可能性があります。
シート高は795mmと標準的ですが、シートの幅が広いため、スペック上の数値以上に足つきが悪く感じられることも、このデメリットを助長しています。
もちろん、停車時のふらつきを補助する「スタンディングアシスト」機能が搭載されていますが、これはあくまで停車中の自立を「補助」するシステムです。
バランスを崩せば転倒のリスクは常にあり、「この機能があるから絶対に倒れない」というわけではない点を十分に理解しておく必要があります。
購入前には、必ず実車にまたがり、その重さや取り回しを体感してみることを強くお勧めします。
気になる維持費と実際の燃費性能

バイクを所有する上で、購入費用と同じくらい重要になるのが維持費です。
トリシティ300の維持費は、主に税金、保険、メンテナンス費用、そして燃料代から構成されます。
維持費の内訳
| 項目 | 目安費用(年間) | 備考 |
|---|---|---|
| 軽自動車税 | 6,000円 | 年に1回 |
| 自賠責保険 | 約4,500円 | 24ヶ月契約の場合の1年あたり |
| 任意保険 | 30,000円~ | 年齢や等級、補償内容により大きく変動 |
| メンテナンス費用 | 20,000円~ | オイル交換、タイヤ交換、その他消耗品 |
| 合計(目安) | 60,500円~ | これに加えて、2年に1度の車検費用が発生 |
任意保険は、251cc以上のバイクはファミリーバイク特約が使えないため、個別で契約する必要があります。
年齢が若い方や等級が低い方は、保険料がさらに高くなる傾向にあります。
燃費性能について
燃費に関しては、公式サイトによるとWMTCモード値で32.0km/Lと公表されています。
実際の走行環境では、乗り方にもよりますが、おおむねリッターあたり28km〜30km程度で推移することが多いようです。
タンク容量は13Lなので、計算上は満タンで350km以上の航続が可能であり、ツーリングでも給油の心配は少ないでしょう。
300ccクラスのスクーターとしては、まずまずの燃費性能と言えます。
しかし、より排気量の小さい125ccや155ccモデルと比較すれば、当然ながら燃料代はかさみます。
避けて通れない2年に1度の車検費用

トリシティ300は排気量が292ccのため、251cc以上のバイクに義務付けられている「車検(自動車検査登録制度)」の対象となります。
これは、新車購入時は3年後、以降は2年ごとに必ず受けなければならない検査です。
車検にかかる費用は、大きく分けて「法定費用」と「点検整備費用」の2つで構成されます。
法定費用は、どこで車検を受けても一律でかかる費用です。
- 自動車重量税:3,800円(2年)
- 自賠責保険料:8,760円(24ヶ月)
- 印紙代:1,700円
- 合計:14,260円
点検整備費用は、バイクショップに依頼する際の技術料や部品代で、お店や車両の状態で大きく変動します。
一般的な相場としては、30,000円から60,000円程度を見ておくと良いでしょう。
これらの費用を合計すると、トリシティ300の車検費用は、何も交換部品がなかったとしても、1回あたりおおよそ50,000円から80,000円程度がかかると考えておく必要があります。
2年に1度の大きな出費となるため、この費用を念頭に置いた資金計画を立てておくことが、後悔しないための重要なポイントです。
オフロード走行は可能か?その実力

フロント2輪という特徴的な構造から、「トリシティ300はオフロードや悪路にも強いのではないか」と期待する方がいるかもしれません。
結論としては、トリシティ300はオフロード走行を想定して設計されていません。
あくまで舗装路(オンロード)を安定して快適に走行するためのバイクです。
その理由は、主にタイヤとサスペンションの設計にあります。
装着されているのはオンロード用のタイヤであり、未舗装路や砂利道ではグリップ力が大幅に低下し、非常に滑りやすくなります。
また、サスペンションも舗装路での衝撃吸収を前提としているため、オフロードの大きな凹凸に対応できるほどの性能は持ち合わせていません。
ただし、フロント2輪のLMW(リーニング・マルチ・ホイール)機構のおかげで、多少荒れたアスファルトや石畳、濡れたマンホールといった、一般的なバイクが苦手とする路面状況での安定性は非常に高いです。
滑りやすい路面でも左右のタイヤが的確に路面を捉え、ライダーに安心感を与えてくれます。
このように、トリシティ300の強みは「舗装路における悪条件下での安定性」であり、本格的なオフロード走行は避けるべき、と考えるのが適切です。
後悔しないためのトリシティ300選びと比較

- トリシティ155、300を比較 どちらを選ぶべきか
- なぜトリシティ155で後悔の声があるのか
- トリシティとナイケンの違いを解説
- 中古の選び方とモデルチェンジの歴史
- まとめ:トリシティ300で後悔しないために
トリシティ155、300を比較 どちらを選ぶべきか

トリシティシリーズには、300の他に155というモデルも存在します。
どちらを選ぶべきかは、バイクの利用目的によって大きく変わります。
ここでは、両モデルの主な違いを比較し、選択のヒントを提示します。
| 項目 | トリシティ300 | トリシティ155 |
|---|---|---|
| 排気量 | 292cc | 155cc |
| 最高出力 | 29馬力 | 15馬力 |
| 車両重量 | 237kg | 165kg |
| 高速道路 | 走行可能 | 走行可能 |
| 必要免許 | 普通自動二輪免許 | 普通自動二輪免許(小型限定も可) |
| 車検 | 必要 | 不要 |
| スタンディングアシスト | 搭載 | 非搭載 |
| 価格帯(新車) | 約95万円~ | 約56万円~ |
この比較から分かる通り、両者には明確なキャラクターの違いがあります。
トリシティ300がおすすめな方
- 高速道路を使ったツーリングを頻繁に楽しみたい方
- パワーに余裕のある走りを求める方
- 停車時の補助機能であるスタンディングアシストを重視する方
トリシティ155がおすすめな方
- 主な用途が市街地での通勤・通学である方
- 軽快な取り回しと低いランニングコストを重視する方
- 車検のない手軽さを求める方
要するに、高速走行の快適性とパワーを求めるなら300、街中での利便性と経済性を優先するなら155、という選択が基本になります。
ご自身のバイクライフを具体的にイメージすることが、最適な一台を選ぶための第一歩です。
なぜトリシティ155で後悔の声があるのか

トリシティ155は非常に優れたコミューターですが、一部のユーザーからは「155で後悔した」という声が聞かれることがあります。
その主な理由は、「高速道路でのパワー不足」に集約されることが多いようです。
トリシティ155は155ccの排気量を持つため、法律上は高速道路を走行することが可能です。
しかし、最高出力は15馬力であり、80km/hを超えたあたりからの加速は緩やかになります。
平坦な道での巡航は問題ありませんが、追い越しや長い登り坂では力不足を感じ、ストレスを抱える場面が出てくるかもしれません。
特に、購入当初は街乗りがメインと考えていたものの、次第にツーリングにも興味が湧き、高速道路を利用する機会が増えた結果、「やはり300にしておけばよかった」と感じるケースが見受けられます。
また、3輪ならではの安定性を期待して購入したものの、街中でのすり抜けなどでは2輪のスクーターほどの機敏さがない点に、物足りなさを感じる方もいるようです。
これらの「後悔」は、バイクの性能が低いというよりも、オーナーの利用目的とバイクの特性との間にミスマッチが生じた結果と言えます。
高速道路の利用頻度が高いと予想される場合は、初めからトリシティ300を選択する方が、長期的に見て満足度は高くなる可能性が高いでしょう。
トリシティとナイケンの違いを解説

ヤマハのLMW(リーニング・マルチ・ホイール)技術を搭載したモデルには、トリシティシリーズの他に、より大型の「NIKEN(ナイケン)」が存在します。
これらは同じ3輪バイクですが、そのコンセプトと性能は全く異なります。
トリシティ300は、スクーターをベースとした「アーバンモビリティコミューター」です。
主な目的は、都市部での快適な移動やツーリングであり、オートマチック変速による手軽な操作性、シート下収納などの実用性が重視されています。
安定性と快適性を両立させ、幅広い層にバイクの楽しさを提供することを目指したモデルです。
一方、ナイケンは、大型スポーツバイク「MT-09」をベースとした「スポーツツーリングモデル」です。
マニュアル変速の845cc・3気筒エンジンを搭載し、圧倒的なコーナリング性能とパワフルな走りを楽しむことを目的としています。
ライダーが積極的にバイクを操る喜びを追求した、趣味性の高い一台と言えます。
要するに、移動の手軽さや快適性を求めるならトリシティ300、スポーツバイクとしての刺激的な走りを求めるならナイケン、という明確な棲み分けがされています。
価格や必要免許(ナイケンは大型自動二輪免許が必要)も大きく異なるため、混同しないように注意が必要です。
中古の選び方とモデルチェンジの歴史

トリシティ300は新車価格が比較的高いため、中古車での購入を検討する方も多いでしょう。
中古車を選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえておくことが後悔を避ける鍵となります。
中古車選びのポイント
- 年式と走行距離
基本的には年式が新しく、走行距離が少ない車両の方が状態が良い傾向にあります。 - 車両の状態
カウル(外装)の傷や割れ、タイヤやブレーキパッドなどの消耗品の残量、エンジン音などをしっかり確認することが大切です。 - リコールの対応履歴
トリシティ300は過去にスタンディングアシスト機能に関するリコールが出ています。購入を検討している車両が、リコール対応済みであるか必ず確認しましょう。信頼できる販売店であれば、整備記録簿などで確認が可能です。
モデルチェンジの歴史
トリシティ300は、2020年に日本国内で発売されて以降、大きなモデルチェンジは行われていません。
ただし、毎年のようにカラーリングの変更は実施されています。
これは、モデルとして比較的新しく、完成度が高いことの裏返しでもあります。
したがって、「特定の年式から大きく性能が変わった」という点は現時点ではないため、中古車選びで年式による性能差を過度に気にする必要はないでしょう。
むしろ、前述の通り、個々の車両のコンディションやメンテナンス履歴を重視して選ぶことが、良い一台に巡り会うための近道となります。
まとめ:トリシティ300で後悔しないために

この記事では、「トリシティ300で後悔したくない」と考えるあなたのために、様々な角度から情報を解説してきました。
最後に、後悔しないための重要なポイントをまとめます。
- トリシティ300の運転には普通自動二輪免許(AT限定可)が必須
- 普通自動車免許では運転できない
- 車両重量は約237kgと重く、取り回しには慣れが必要
- シート幅が広く、スペック以上に足つきが悪く感じる場合がある
- スタンディングアシストは完全な自立支援ではなく、あくまで補助機能
- 高速道路での追い越しなどではパワー不足を感じる可能性がある
- シート下収納は45Lで、ビッグスクーターとしては標準的
- 2年に1度、約5万円~8万円の車検費用がかかる
- 燃費はリッター30km前後で、このクラスとしては標準的
- 任意保険はファミリーバイク特約が使えず、個別契約が必要
- オフロード走行には向いておらず、舗装路での安定性が強み
- 街乗り中心なら155、高速利用が多いなら300が適している
- 155は高速でのパワー不足から後悔に繋がるケースがある
- スポーツ走行が目的なら、全くコンセプトの異なるナイケンが選択肢となる
- 中古車はリコールの対応履歴を必ず確認することが重要
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